教育変遷期~「食える大人」に育てる

今回の学習指導要領改訂案は、従来の学習の学力とは、かなり異なる方向に舵が向けられています。

その根底にあるのは、大きな社会の変化です。

 

以前ブログでも取り上げましたがAIの進化や技術革新、需要と供給など様々な要因から
今の子供達の65%以上が、今はない職業につくと言われています。

 

「今はない職業」がどんなものなのか具体的に想像することは出来ませんが
「今はない職業」が過半数を超えるであろう時代を生き抜くために必要な力はイメージできます。

 

おそらくそれは従来の学習(知識の再生や暗記)で身に付く力ではありません。
教えられたことが出来る、決められたことが出来ればいい、ならそれはAIで十分です。人は必要ありません。

 

そうではなく、答えのないものに答えを見つけることが出来る力。何もないところから何かを構築できる力
あるいは情報を収集しそれに価値を加えて発信できる力・・・そう言った独自性、創造性、発信力・・・
テストの点数で図ることが出来ない力、机にかじりついて勉強をしても手に入らない能力だと思います。

 

実際今回の教育改革の中身を見ると狙いはそういった従来の学習では身につかない力の構築だと思われます。

 

新たに教科に加わる英語を例にみても評価はペーパーテストの点数だけではなく、英語を使って何が出来るのかというところも
加味されます。中学では英語で英語の授業を行う実戦的な授業になり、高校ではディベートを行うなど求められる力は語学の知識ではなく運用、活用力です。

 

英検1級を持っていることと、ディベートで相手を打ち負かすことはイコールではありません。
学問の知識があっても、それを活かすのは人です。論理的に物事を考えられなければ言葉がわかっても無意味です。
教えられたことしか出来ない人間はAIにその座を奪われるのみです。

 

私のスクールも以前は、英検の対策をうたったクラスもありました。でも今は英検にフォーカスしたクラスは
ありません。その理由は英検を持っているかどうかは重要ではなく、英語で何が出来るかが重要だからです。

 

小さな子供さんが英検の上位級に受かると周囲からすれば、「優秀」に見えます。親御さんも安心するでしょう。
でも、問題は中身です。以前にも書きましたが、英検の結果表のグラフ点数のバランスを見てほしいのです。

 

子供さんの場合、ヒアリングで逃げ切って合格はしているけれど点数はぎりぎりということが往々にしてあります。
つまり、理解していなくても英語を長く習っていてリスニングの耳が出来ていれば、準2級くらいまでは単語と熟語、教本を練習したら
受かるんです。

 

実際、その方法で私の娘も小学5年生までで準1、うちの生徒でいえば4年生で準2まで受かっています。
単なる暗記なので、特に時間はかかりません。
でも、だから力があるかと言えばありません。覚えたことを再生する能力があっただけです。

こんな時期だから、私はあえてお伝えしたいです。
英検を低年齢で上位級をとる必要がありますか?英検を取るために英語を勉強することはおかしいと思いませんか?

 

英検は、英語の学習をしている人が自分のレベルを確認する目安として受けるべきものであって、英検を取ることが最終目的になるのは
おかしいことではありませんか?

英検の合格を目的に勉強しなくてはいけない人がいるとすれば、例えば入社、転職、昇級などに資格が必要な大学生や大人くらいでしょう。
小さい子供に上位級を取ることを目的に学ばせる必要や理由がありますか?

 

上位級をとっても、取得してから長く経過すると再取得を求められる場合があることをご存知ですか?
TOEICやTOEFULもそうですが、スコアは永久的なものではありません。取ったら終わりではないのです。

 

考えてみてください。

英検1級を持っていてもコミュニケーションが取れない人、自分の意見を言えない人と
英検などの資格はないけれど英語を自分言葉として意見を述べられる人、コミュニケーションツールとして周りと連携が取れる人
どちらが社会にでて活躍できるでしょうか?

 

大事なことはテストの点ではなく、運用力、活用力です。そしてそれらはきちんとした基礎が合って構築できるものです。
長い目で見て、本当に必要な事を選択しましょう。

 

何歳で英検を取得したか?大人になって聞かれることありませんよね。
親御さんで英検を学生の頃に取得された方もおいででしょう。それが本当に必要だった方どのくらいおいでですか?
英検をお持ちの方で、流ちょうにお話になれる方、どのくらいおいででしょうか?

英語に限らず、固定観念を捨てて世の流れを見て、ママ友に頼らず、自分で情報を収集して判断しましょう。
我が子にとって一番ベストな学びは、親御さんにしか決められません。

この変遷期、「食える大人」に必要な能力をご夫婦で考えてみてください。

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